●2014年09月末日用事務所だより
第1 税務・会計・法務情報
《1》平成27年分からの増税影響は所得税にも
税制改正そのものは、平成25年度で行われている内容ですが。
平成27年度分から、所得税の増税が生じます。
具体的には、課税所得4000万円超部分に、最高税率45%の区分が入ります。
結果、住民税の税率10%と足すと、最高税率は55%となります。
平成26年 平成27年
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─────────┼───────────→
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所得税 5%~40% → 5%~45%
住民税 10% 10%
計 15%~50% 15%~55%
このため、所得区分が最高税率になりそうな方は、ご注意ください。
とりわけ、配当所得は、総合課税なので要注意です。
例1)会社の解散による残余財産の分配
例2)会社に自己株式譲渡する対価の収受
実際の実行には、税以外の要素も考慮が必要なのは言うまでもありませんが。
ただ、大きな考慮要素になりそうな場合には、是非ご注意ください。
なお、不動産や株式の譲渡は、分離課税で税率一定のため、上記影響外です。
《2》納税準備預金の積立習慣があるか
まず、先にお断りです。
以下は、お客様の中で、財務的な意識がある方には不要なお話です。
(月次決算を翌月中に完了している場合は、まず、心配ない場合が多いと思います)
これらの方々は、ほぼ、共通して持っている習慣があります。
それは、
┌──────────────────┐
│納税準備預金を積立する習慣があるか │
└──────────────────┘
です。
弊所では、決算申告時に、その時の納税一覧とともに。
中間申告で必要となる納税予定額もお知らせしています。
いつが期日だから、資金繰りのカレンダーに書いておいてくださいねと。
その上で、上記のような意識のあるお客様方は。
┌───────────────────────┐
│期日に合わせた毎月の積立預金を始めるのですね。│
└───────────────────────┘
これが、自然にできています。
業績が必ずしも良くない時も、納税資金に困ることがありません。
本来「山より大きなイノシシはいない」のですが。
そう言えるためには、日々の積み重ねが必要です。
まだの方々は、是非、今日から納税準備預金をお始めください。
消費税率アップの影響を感じている方々は、わかって頂けるものと思います。
第2 研修会情報・執筆情報
《1》関与先様向研修会
1)贈与税セミナー
毎年開催しておりますが、今年も11月6日木曜午前に、関与先向け贈与税セミナーを行います。場所は、福山商工会議所8階のTKC福山SCGセンターです。
関与先様へのご案内は、別途差し上げます。
来年つまり平成27年から、相続税の基礎控除が縮減されるなど、相続について考える機会として、ご利用頂ければ幸いです。
《2》外部研修会情報
1)TKC生涯研修講師
11月12日岡山会場・11月19日山口会場にて「実務目線からの事業承継の実務」セミナー講師を務めさせて頂く予定です。
《3》執筆情報
1)「法人税の鉄則50 (申告書からみた税務調査対策シリーズ)」が発刊されました。
日本税理士会連合会編として、「法人税の鉄則50 (申告書からみた税務調査対策シリーズ)」が中央経済社から発刊されました。岡野・内藤・白井・村木の4人の先生方との共著となっています。
「法人税の鉄則50 (申告書からみた税務調査対策シリーズ)」
濱田康宏 (著), 岡野訓 (著), 内藤忠大 (著), 白井一馬 (著), 村木慎吾 (著), 日本税理士会連合会 (編集) 中央経済社 平成26年9月20日発行
税務調査を意識して、税理士事務所がどこまでやっておくべきかについて、申告書や決算書・勘定内訳書などとの繋がりを含めて解説を行いました。チェックポイントの後に解説を行う形になっているので、確認がしやすいものと思います。
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INET用
《1》重要報道
1)地銀のネットバンク8割が当日送金停止 法人向け ウイルス被害拡大
産経新聞 9月19日(金)7時55分配信
全国地方銀行協会は18日、協会加盟の地方銀行(64行)の約8割超が法人向けインターネットバンキング(IB)の当日の送金業務を当面停止していることを明らかにした。大手行のりそな銀行も新規の振込先への送金を原則停止している。IBでは不正送金被害が今年上期だけで年間の過去最悪を上回る18億5200万円に上り、地方銀行の法人口座で被害が拡大していることが背景にある。
(略)
送金を翌日以降とすることで、不正送金や詐欺被害が発覚した場合、銀行側が必要な手立てがとれる。当日送金が必要な顧客は店頭に出向く必要があるが、同行は「利便性は下がるが、顧客の安全を一番に考えるべきだ」としている。
(略)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140919-00000110-san-bus_all
◆ネットバンキングを行われている方は、次の2点を必ず。
【1】ウィンドウスやウイルス対策ソフトなどのアップデートは必ずかける。
【2】ウイルス対策ソフトの完全スキャンを1週間から1月に1回はかける。
なお、XPパソコンの利用継続が危険なのは言うまでもありません。
《2》脱税・申告漏れ報道等
1)シオノギが400億円申告漏れ 治療薬販売の権利譲渡益で
2014.9.12 15:38
製薬大手の塩野義製薬(大阪市中央区)が大阪国税局の税務調査を受け、治療薬販売の権利譲渡益を申告していなかったとして平成25年3月期までの数年間に約400億円の申告漏れを指摘されたことが12日、分かった。過去の赤字と相殺され、追徴税額は約7億円の見通し。
(略)
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/140912/waf14091215380028-n1.htm
◆組織再編税制絡みの論点のようです。
事前に国税に相談をしていたようですが、どうもその内容が不十分であった可能性があります。
2)農産物ネット直販、申告漏れ多発…売り上げ除外
2014年09月11日 17時17分
インターネットなどを使って農産物を消費者に直接販売した農家が、売り上げを除外したとして申告漏れを指摘されるケースが相次いでいる。
(略)
関係者によると、同国税局が取引状況を調べた結果、一部は地元のJAを介さず、ネット取引などで消費者に直接販売した売り上げを除外。所得約1000万円を過少申告していた農家もあったという。
(略)
http://www.yomiuri.co.jp/national/20140910-OYT1T50112.html
◆ネット取引などはパトロールされているとみてよいでしょう。
3)新宿の老舗ホストクラブ所得隠し
2014年9月10日(水)16時46分配信 共同通信
(略)
関係者によると、現金で高額の支払いをした客の伝票を偽造して売り上げを一部除外しており、国税局は悪質な仮装隠蔽を伴う所得隠しと判断したもようだ。
(略)
http://news.nifty.com/cs/headline/detail/kyodo-2014091001001478/1.htm
◆動機は、業績低迷のためのようですが、この報道でいっそう苦しくなるでしょう。
4)茨城の巻き網漁業者所得隠し=2億円、東電賠償受領中-国税指摘
2014年9月8日(月)13時2分配信 時事通信
(略)
調査を受けたのは、太平洋沿岸でサバなどの巻き網漁業を行う「不動丸」(同県北茨城市)など。追徴税額は重加算税を含めて計約1億円で、各社は既に修正申告し、納税したとみられる。
関係者によると、市場以外の取引先に対する魚の売り上げを除外するなどしていたという。2013年までの7年間の所得隠しを指摘された業者もいた。東電からの賠償金は申告していたとみられる。
http://news.nifty.com/cs/headline/detail/jiji-2014090800328/1.htm
◆非常に残念ですが、こういう方々もいるということです。
5)消費税、事前申告の社も…パイロット派遣
2014年09月08日 17時25分
海外のパイロット派遣会社7社が東京国税局から消費税計約2億円の申告漏れを指摘された問題で、派遣会社の多くが「納税義務があると思わなかった」と釈明するなか、一部の会社が税務調査を受ける前から消費税を申告していたことが分かった。
(略)
http://www.yomiuri.co.jp/national/20140908-OYT1T50095.html
◆過去には、外国プロレスラーが日本興業に来て、同様の論点で申告漏れ指摘されています。事務所などが日本にないので、うっかりしてしまう論点です。
6)デンソーへの追徴課税12億、全額取り消し判決
2014年09月04日 20時08分
海外の租税回避地にある子会社の所得を巡り、名古屋国税局から追徴課税(更正処分)されたのは違法として、大手自動車部品メーカー「デンソー」(愛知県刈谷市)が国を相手取り、処分の取り消しを求めた訴訟で、名古屋地裁(福井章代裁判長)は4日、デンソー側の主張をおおむね認め、国に約12億円の追徴課税(地方税を含む)の全額を取り消すよう命じた。
(略)
http://www.yomiuri.co.jp/national/20140904-OYT1T50089.html?from=ytop_ylist
◆取消しでほっとしたかと思えば、まだ先があるようです。
7)新システム移行で申告漏れ=第三銀行が4億5000万円―名古屋国税局
時事通信 9月1日(月)10時34分配信
(略)
同行によると、問題とされたのは、今年1月に稼働した新基幹系システムへの移行作業。数十億円の投資額のうち、システム開発費は資産として計上する一方、旧システムからデータを移行する作業で支払った費用は各事業年度で損金計上した。
しかし、国税局は、移行作業の一部がシステム開発に当たるなどと指摘。資産計上した上で、数年間かけて償却するよう求めた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140901-00000037-jij-soci
◆データ移行作業の中で、新システムの構成要素と捉えられる部分があったものと思われます。今後、単にデータ移行作業費というだけで損金にするのは、危険な場合があるということになりそうです。