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●2018年04月末日用事務所だより


●2018年04月末日用事務所だより

第1 税務・会計・法務情報

 《1》平成30年度改正で導入された事業承継特例制度

 平成30年度税制改正で、事業承継税制の特例制度が創設されました。
 期間限定の特例措置で、一般措置より恩典が大きくなっています。

【事業承継税制における特例創設】

┌────┐ ┌─ 特例措置(平成30年度改正で新設:期間限定)
│事業承継│ │   優遇が大きいが、基本、事前確認が必要。
│税制 ├─┤   (平成35年3月末までの計画提出が必要)
└────┘ │   
└─ 一般措置(従来からある制度:恒久的制度)
            事前確認は不要で、期間限定はない。

 従来の措置よりも、優遇が大きい代償もあります。
 従前の相続・贈与後の認定の手前に、基本、事前に計画を作成して確認を受けるとの二段構えの手続が必要になりました。

【納税猶予には、経営作成による確認と認定の2段階手続が必要】

    【1】       【2】
    確認  相続・贈与 認定   申告
 ────×────×────×───×──────→
    計画        認定    ←納税猶予─→
    作成        書類
    提出        提出

 最大のネックと言われた雇用確保要件も実質撤廃されました。
 ただし、認定経営革新等支援機関の助言・指導を受けて報告が必要です。

 従来同様、相続税・贈与税申告を行い、納税猶予措置を受けますが。
 その後、毎年ないし3年ごとの定期報告が、猶予終了まで続きます。

【納税猶予に係る定期報告は、後継者死亡まで続く】

 先代後継者
 相続税申告
 または
 贈与税
  申告               後継者死亡
 ─×──────────────────×─────
                    猶予分
                    免除──→相続税
                         申告
   ←────納税猶予期間──────→

    毎年ないし3年ごとの定期報告が必要
    (先代分の贈与税・相続税の納税猶予)

 後継者死亡まで、一定条件を満たしつつ事業継続することで。
 最終的には、当初の猶予税額は免除される期待があります。

【納税猶予が免除されるのは、後継者死亡まで無事な場合】

┌────┐←───納税猶予期間────→後継者
│申告時 │               死亡 ┌──┐
│納税猶予├─(猶予期間中は定期報告あり)─×─→│免除│
│手続 │       │           │届出│
└────┘ │           │手続│
↓           └──┘
┌────────────┐
       │期間中に、一定事由該当で│
       │猶予取消になると、 │
       │その時点で、本税の一括 │
       │納税に加えて、利子税の │
       │支払が生じる │
       └────────────┘

 絶対ではありませんが、最終的に免除されるのであれば無税と同じだ。
 そのように思う方も多く、今後大幅な利用増加が見込まれています。

┌─────────────────────────────┐
│ただ、手前で考えておくべきことが、幾つかあります。 │
│中には、結構厄介な問題もあり、十分な理解が必要になります。│
└─────────────────────────────┘

 弊所では、本制度についてのセミナーを6月に開催する方向です。
 日程等決まり次第、アナウンスさせて頂きます。

 なお、本制度は、既に金融機関の営業話法で多用されていると聞きます。
 しかし、決して、バラ色の未来ばかりある制度ではありません。

 きちんと、得失を踏まえて判断して頂くべきだと考えています。
 なにせ、

 後継者が亡くなるまで、ずっと報告が続く制度です。
┌───────────────────────────┐
│手続失念は猶予打ち切りになり、既に実例もあるそうです。│
└───────────────────────────┘

 まずはセミナーを受講頂いて、ご判断の材料を得て下さい。
 そこから、今後どうするかのお話をしていきたいと考えています。

第2 研修会情報・執筆情報

 《1》関与先様向研修会

 弊所では、毎年、改正税法研修会を1月に開催し、相続税・贈与税セミナーを秋口に開催しております。

 現在のところ、相続税贈与税セミナー日程は未定です。

 なお、上記のように、関与先様向けの新事業承継税制セミナーの開催を調整中です。

 《2》外部研修会情報

 10月13日土曜日に公認会計士協会千葉会の研修講師依頼があり、現在調整作業中です。

 《3》執筆情報

1)週間税務通信(税務研究会)で月1回連載「実例から学ぶ税務の核心」を大阪勉強会のメンバー(濱田康宏・岡野訓・内藤忠大・白井一馬・村木慎吾)による座談会形式で行っています。

 4月では、下記が掲載されました。

「実例から学ぶ税務の核心 <第19回>代表者役員報酬の不相当高額否認の衝撃(税務通信3502号  2018年04月09日)

 役員給与の不相当高額否認で、実務でまず出会うことのなかった、代表者報酬の不相当高額否認事例(平成29年4月25日裁決)が登場しました。本稿では、この事案のポイントを確認して、今後の実務対応を議論しています。また、東京地裁の役員退職給与の50%加算判決(東京地裁平成29年10月13日判決)についても触れています。

 機会があれば是非お読み頂ければ幸いです。

 《4》書籍情報

1)法人税の最新実務Q&Aシリーズ「役員給与」発刊

https://www.amazon.co.jp/dp/4502254711/

 3月に発刊された上記について、日本税理士会連合会「税理士界」2018年4月15日号1面最下部の中央経済社広告欄に、本書広告が掲載されました。

第3 その他

 《1》なるほどと思った記事・ブログ

1)「若手に劣るベテラン」問題と、「トッププロ」の凄まじさについて

 医師の方が書いたブログ記事ですが。
 下記の「素人とプロの違いがマニュアルを使えるかどうか」は、なるほど一面の真理だなと思いました。

「若手に劣るベテラン」問題と、「トッププロ」の凄まじさについて。
高須賀2018/4/10
https://blog.tinect.jp/?p=50745

2)学生の新聞の読み方(湊かなえさんの勉強法)

 もし、学生で、新聞が読めないとお嘆きの方がいれば。
 是非、湊かなえさんの勉強法を教えてさしあげたいですね。


自分の知らなさ 分かる 湊かなえ

 (略)

 大学生の頃、新聞の1面トップの記事の見出しと最初の段落を、毎日手帳に書き写していた。

 (略)

 世の中で起きていることを知るにはほぼ新聞しかなかったから、1面だけでも追いかけていれば、ある程度のことが分かるんじゃないかという気持ちだった。

 (略)

(「新聞週間2017読もう学ぼう」紙版の産経新聞平成29年10月16日(月)朝刊
より。)


参考)
紙面開けば、広がる世界 新聞週間に寄せて 井ノ原快彦さん、湊かなえさん
朝日新聞 2017年10月14日05時00分
http://www.asahi.com/articles/DA3S13179144.html