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●2018年1月末用事務所便り


●2018年1月末用事務所便り

第1 税務・会計・法務情報

 《1》国税庁「医療費控除に関する手続について(Q&A)」~ 6項目を満たさない医療費通知は、そのままでは添付書類の利用不可

 既に前月末でもアナウンス済みですが、誤解が多いので再度扱います。
 実は、どうするんだろうねと、昨年調査現場の雑談でも話していました。

「平成29年分確定申告の医療費控除の提出書類の簡略化について」国税庁(平成29年9月)
https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/pdf/iryoukoujyo_meisai.pdf

 9月に出たこのパンフ通りに申告すると、現場で事故が起きるよねと。
 一体どうするんだろうかと。

 このような現場の不安の声に対する国税庁の回答の意図かもしれません。

「医療費控除に関する手続について(Q&A)」(平成30年1月)
https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/pdf/iryohikozyoQA.pdf

 これが平成30年1月頭に出ました。
 いや、予想通りなのですが、簡単に言えば、
┌──────────────────────┐
│ 6項目のいずれかを満たさない医療費通知は、│
│ │
│「補正して使いなさい」 │
│ │
│ あるいは │
│ │
│「従来通り領収書を付けて出しなさい」 │
│ │
│ ということになります。 │
└──────────────────────┘

 もっと言い切れば、
┌──────────────────────┐
│平成29年分申告では、医療費通知の利用は無理│
└──────────────────────┘
 です。

 この点、その後の税務連絡協議会で確認できました。

 自己負担額記載がないので、国保・後期高齢者医療保険の「医療費のお知らせ」は使えません、と。

 更に、国及び地方公務員共済・協会けんぽ(社会保険)は利用可能だと。
 ただし、こちらも、実際には、補正が必要な部分が多々ある上に、
┌────────────────────────┐
│12月支払い分の明細が到着するのは、3月になる │
└────────────────────────┘
 との現実があります。

 もちろん、平成30年分以後は、利用可能になる可能性があります。
 しかし、まだ確定的なことは、誰にも言えない段階です。
┌─────────────────────────────┐
│少なくとも、平成31年分までは、従来通りの申告が可能です。│
└─────────────────────────────┘

 ということで、パンフレットに惑わされないよう宜しくお願いします。

 《2》ピックアップ情報おのみち第835回「医療費控除の申告が変わります」(尾道市)

 上記で解説した改正の問題点の説明抜きですが。
 医療費控除の改正点を、7分少々でざっくり説明する動画があります。

 尾道税務署の職員さんが登場して説明してくれます。
┌───────────────────────┐
│ピックアップ情報おのみち第835回 │
│「医療費控除の申告が変わります」(尾道市) │
│https://www.youtube.com/watch?v=wsAh-FUDIhs │
└───────────────────────┘
 既に説明した通り、ここで説明されている医療費領収書を使わず、医療費通知書により申告する方法は実際にはまだ利用できませんが。

 しかし、国税庁サイトの医療費控除の説明動画が改正前のままですので。
 改正をざっくり知りたい方には有用だと思います。

 《3》医療費控除とセルフメディケーション税制の減税額等を試算できます

 国税庁サイトで、従来からある医療費控除とセルフメディケーション税制の減税額のどちらが有利か試算できるコーナーが用意されました。


医療費控除とセルフメディケーション税制の減税額等を試算できます
┌───────────────────────────┐
│「通常の医療費控除」と「セルフメディケーション税制」は│
│選択適用のため、重複して適用することはできません。 │
│どちらの控除を受けるかは申告される方が自ら選択する │
│必要があります。 │
└───────────────────────────┘
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tokushu/info-iryouhikoujo.htm


 《4》医療法人も事業税調査に県税事務所が来ることがある

 地元税務連絡協議会からです。

 県税事務所の方の説明で、調査協力依頼関係の話があり。
 事業税は、外形標準課税関係でお伺いさせて頂いていますと。

 そうですね、これはまぁ一巡させると以前話があり。
 ところが、今回、医療法人も調査に伺っていますと。

 医療法人について、県税事務所が事業税のみの調査を目的として、単独調査に来ることがあるようです。

 医療法人の関与先の皆様はご注意下さい。

 《5》任意(全額自己負担)受診の健康診断は「一定の取組」に該当しないか

 任意(全額自己負担)受診の健康診断は「一定の取組」に該当しないか?

 「しない」で終わったら、「医療費控除は10万円足切り」と同じで。
 不完全な回答ということになります。

 答えは「原則しないが、別途保険者等による証明書が出れば該当」です。


(誤りやすいポイント)
④納税者が任意(全額自己負担)で受診した健康診断について、「一定の取組」に該当するとした。

(補足説明)
 任意(全額自己負担)で受診した健康診断は、「一定の取組」に含まれない。

 ただし、当該健康診断結果を保険者や事業主に提出することで特定健康診査や定期健康診断の結果とみなされ、保険者や事業主が「一定の取組」を行ったと証明した場合には、「一定の取組」に該当する。

「誤りやすい事例集(高松国税局平成29年11月)」より。


 なお、この取組の証明書の発行要否については、下記の厚労省フローチャートが有用です。

○ 【チャート】一定の取組の証明方法について
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000143635.pdf

 そして、証明書の発行依頼書は保険者(国保等)宛と事業者宛の2種類が用意されています。

・保険者宛証明発行依頼書(福山市役所などに出します)
 http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000145112.docx

・事業者宛証明発行依頼書
 http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000145113.docx

 あまりないとは思いますが、仮に、従業員が全額自己負担で受診したが、自分の事業所の定期健康診断と同様に扱うという場合には、この事業者用の証明書を発行して貰って、申告書に添付することになります。

 ただ、多くの場合は、それ以外の証明書類(インフルエンザ予防接種の領収書など)で代替可能である点を申し添えます。

第2 研修会情報・執筆情報

 《1》関与先様向研修会

 弊所では、毎年、改正税法研修会を1月に開催し、相続税・贈与税セミナーを秋口に開催しております。

1)平成30年度改正税法速報セミナー

 平成30年度税制改正大綱の内容について、速報セミナーを平成30年1月19日に福山商工会議所8階TKC福山SCGサービスセンター会議室にて実施しました。
 なお、この際には、医療費控除の平成29年分から適用になる改正事項についてもご説明しました。

 《2》外部研修会情報

1)税務研究会セミナー

 12月15日(金)に、大阪で、税務研究会主催による「実務目線から平成30年度税制改正大綱を斬る!最も早い税制改正解説セミナー(座談会)」で、大阪勉強会メンバーとともに登壇して講師を務めました。

 このセミナーが動画で収録され、配信開始されています。

実務目線から平成30年度税制改正大綱を斬る!
最も早い税制改正解説セミナー(2017年12月15日収録)
https://www.zeiken.co.jp/seminar/ws/detail/1522

 一部サンプル視聴ができるようになっています。
 動画を見て、所長はダイエットが必要だと、現在猛省中です。

 《3》執筆情報

1)週間税務通信で月1回連載「実例から学ぶ税務の核心」を大阪勉強会のメンバー(濱田康宏・岡野訓・内藤忠大・白井一馬・村木慎吾)による座談会形式で行っています。

 1月では、下記が掲載されました。

【税務通信3489号  2018年1月8日】
実例から学ぶ税務の核心 <第16回> 

実例から学ぶ税務の核心 <第16回> 特別編 新春・平成30年度税制改正対談 ― 与党大綱を読んで

 昨年に引き続き、本年も5人のメンバーで座談会方式で、税制改正大綱を扱ったものを、週刊税務通信に掲載して頂きました。

 なお、この号の読者投票(データベース 「マイ記事」登録ランキング)にて、本記事が1位を獲得しました。ありがたい限りです。

 《4》書籍情報

 書籍情報ではなく、新聞掲載の対談記事ですが、是非一読を。

2018.1.24 13:30更新
【対談】医療と芝居の共通点 理研・高橋政代氏「行き当たりバッチリ」、俳優・佐々木蔵之介氏「ポジティブに転んで」
http://www.sankei.com/entertainments/news/180124/ent1801240008-n1.html
 元々は、産経新聞平成30年1月5日金曜日朝刊の対談記事です。
 今は、ネットで読めます。

 佐々木蔵之介は俳優、高橋政代氏は理化学研究所プロジェクトリーダー。
 高橋氏の発言で、参考になることが幾つかあり、一番はこれでした。


高橋 (略) これから10年で世界は大きく変わる。今までのルールを守っていたら世界から取り残されてしまいます。

 (略)

高橋 AI時代はまさに、それです。苦手なものをやりなさい、ではダメなんです。教育を変えないと。私、「矯正知力」という言葉も流行らせようとしています。目には矯正視力と裸眼視力がある。眼科医は矯正視力を重視します。裸眼視力はあまり意味がないから。ところが今、学校教育では、「裸頭」(らあたま)を測っていますよね。例えば、電卓を持ち込んだらだめとか、記憶力をテストしたりとか。だけどAI時代になると「矯正知力」が重要です。それは得意なことを伸ばす、ということと同じ意味です。


 100均で電卓を買える時代なのですから。
 従来の教育方法と同じではダメだとは、個人的にも主張していましたが。

 AIやPCで底上げされた状態が、自分の能力だと言って良いのですね。
 底上げされているからインチキだ、なんて思わなくて良い。

 なんか罪悪感みたいなものが、まだ自分でも払底できずにいました。
 これを読んで、もう当たり前だと思えば良いのだなと思えました。

 他にも幾つかメモしておきたい言葉がありました。
 是非お読み下さい。