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事務所便り2019年9月末号


事務所便り2019年9月末号


第1 税務・会計・法務情報
《1》消費税率改定関係で頂いている質問

 やはり、税率改定直前で、消費税率改定の質問が増えてきました。

 頂いた質問をご紹介してみます。

【商品販売代金を10月以後に貰う場合の税率】
Q1:商品販売です。飲食料品ではありません。9月中に引渡しが終わっていますが、代金は10月に貰います。消費税率は10%ですか?

A1:いえ、8%です。
ポイント)

商品販売の場合、資産の譲渡になるため、引渡し時期で判断します。代金は先払いでも、後払いでも、税率の判断に影響しません。

【報酬支払いを10月以後に行う場合の税率】
Q2:役務提供を受けるため、報酬の支払いを行います。役務提供は9月中に受けますが、お金は後払いで10月に支払います。消費税率は何パーセントですか?
A2:8%です。
ポイント)

報酬で、役務の提供を受ける場合、役務提供完了日での判定になります。基本、請求書発行側が税率判断をするはずですが、間違っていることもあるかもしれませんので、必要に応じて確認して下さい。

【10月以後届く税理士報酬の税率】
Q3:10月に届く税理士報酬の請求書では、消費税率は10%ですか?
A3:顧問料は9月分までが8%、10月分からが10%となり、決算料や巡回監査報酬は完了日が10月以後のものから10%になります。7月決算法人の決算は通常9月に完了しますので、通常8%になります。
ポイント)

委任契約となる顧問料は何月分かで判定し、請負契約となる決算料や巡回監査報酬は、完了日で判定します。

【一括して支払う税理士報酬の税率】
Q4:税理士報酬はまとめて請求書を出して貰って、まとめて支払っています。9月までの支払い分は、全て8%で良いですか?
A4:Q3の区別により、例えば顧問料で10月分以後のものは10%税率となります。お手数ですが、2%分を追加でお支払い下さいますよう、お願い申し上げます。
ポイント)

 一括して支払った時期が9月以前でも、役務提供完了日での判定で税率が決まることから、役務提供完了日が10月以後となれば、税率10%となります。宜しくお願いします。

【賃貸借契約】
Q5:営業所を借りる賃貸借契約があり、3月までに契約を締結しています。期間も金額も決まっているので、10月分以後も、次回更新までの期間中は賃貸借契約の経過措置の対象で8%になりますか?
A5:そうとは限りません。
ポイント)

 賃貸借契約書で「当該契約に係る資産の貸付期間及びその期間中の対価の額が定められていること」は満たしていても、「事業者が事情の変更その他の理由により当該対価の額の変更を求めることができる旨の定めがないこと」を確認しないと、要件を満たさず、10%になる可能性があります。

 固定資産税や物価の値上がりによる変更条項などはもちろん、対価を変更できるとしてあるものは、基本、要件を満たさないことになります。ご注意下さい。

《2》キャッシュレス決済へのポイント還元制度で複数のクレカ会社と契約する加盟店に注意喚起(税のしるべ)

 (略)

《3》プレミアム付商品券の詳細を公表(税務通信)
○税務の動向 プレミアム付商品券の詳細を公表
 税務通信 3552号  2019年04月15日
 プレミアム付商品券 3歳半までの子を持つ世帯対象へ

 (略)

《4》ふるさと納税について
 弊所職員の感想です。

 (略)

第2 研修会情報・執筆情報
《1》関与先様向研修会
 弊所では、毎年、改正税法研修会を1月に開催し、相続税・贈与税セミナーを秋口に開催しております。

 現在のところ、相続税贈与税セミナー日程は未定です。

 なお、本年は、4月に所得拡大促進税制セミナーを実施しました。
 消費税の税率改定対応セミナーは7月4日に開催しました。

 関与先様で、自社の利用で必要な方は、お申し出頂ければ、セミナー資料等をお渡しできます。

《2》外部研修会情報
 現時点では予定ございません。

《3》執筆情報
1)週間税務通信(税務研究会)
で月1回連載「実例から学ぶ税務の核心」を大阪勉強会のメンバー(濱田康宏・岡野訓・内藤忠大・白井一馬・村木慎吾)による座談会形式で行っています。

 9月号では、

実例から学ぶ税務の核心 第34回 消費税率改定と軽減税率対応の実務における急所(税務通信20190909)

税務の核心「消費税率改定と軽減税率対応の実務における急所」掲載されました(週刊税務通信)

 週刊税務通信2019年9月9日号(No.3571)
 https://www.zeiken.co.jp/mgzn/tusin/back_number/25210616.php

○連載 実例から学ぶ税務の核心
 第34回 消費税率改定と軽減税率対応の実務における急所
 大阪勉強会グループ 濱田康宏・岡野訓・内藤忠大・白井一馬・村木慎吾

 消費税関連記事が溢れる中、消費税ネタやる意味があるか。
 そこは当然議論したのですが、やはり必要だと。

 基本でありながら、疎かにされている部分を再確認しようと。
 税率判断の基本をまずはきっちりと押さえましょうと。

 締め日と税率との関係は、意外に正確な理解がないことが多い。
 建設業の出来高検収の「検収」はどういう意味か。

 など、機会あれば、是非、ご一読下さい。

2)労務事情
2019年9月15日号(No.1391)に「給与税務Q&A 事前確定届出給与を予定どおりに支給しない場合の損金不算入額」が掲載されました。紙版の事務所便りを配信させて頂いているお客様には、別紙で同時にお送りする予定です。

 何故、事前確定届出給与は使うべきではないとお話しているのか、この機会に学んで頂ければ幸いです。

《4》書籍情報
 今月はございません。

第3 その他
《1》お勧めの書籍・雑誌
1)お母さんは勉強を教えないで(見尾 三保子)
 最近、ある本を読んで、17年前に読んだこの本を思い出しました。
 すると、Kindleで買えることを発見。

お母さんは勉強を教えないで PHP文庫 Kindle版
見尾 三保子 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/B00OQ1SPXI/

 是非、ご一読を。
 今でも通用するというか、今こそこの警告が実現した時代だと思うので。

 著者は学習塾の主催者で、40年間小学校低学年から大学受験生までを教えてきたという(もう以前の塾生の子供たちが通ってきているのだとか)。

本の横帯の一部を参照すると、

「『やり方』だけ覚えて意味を考えない子が増えた現状を警告し、子どもは『実感的に理解』してこそ意欲をもつのだと説く。」

「自ら実践してきた『引き出し』教育の成果を具体的に紹介する。」

 できればこの本を手にとって、第1章「意味を考えない子どもたち」で紹介されている実例の恐ろしさを実感してほしい。

 詰め込み型英才教育に走った結果、5桁の足し算・引き算のような高度な問題は解けても、「100より2つ小さい数はいくつ?」にすら答えられない、本質を何も理解できなくなった子どもの母親に著者は、

「算数は、頭を能率のよい電卓にすることではないんですよ」

と言うが、このような例は、

「教育熱心な母親の思いちがいとして、近年、非常によく見られるケース
である。」

とまで言う。

 「何故」を考えない学習は無意味というより有害ですらあります。

 そのことをこの本は、17年前に警告していました。

 今、まさに読むべき本だと思います。

INET用
 (略)