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●2016年8月末日用事務所だより


●2016年8月末日用事務所だより

第1 税務・会計・法務情報

 《1》「消費税率引上げ時期の変更に伴う税制上の措置」

 消費税率の引き上げに伴う税制上の対応について、方針が出ました。

○「未来への投資を実現する経済対策について」(平成28年8月2日閣議決定)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/keizaitaisaku_honbun_160802.pd
○「消費税率引上げ時期の変更に伴う税制上の措置」
 http://jimin.ncss.nifty.com/pdf/news/policy/132828_1.pdf

 国会未成立ですが、住宅減税関係は、21年までの延長の方向のようです。
 ただし、財源の捻出がどうなるか、まだ不透明です。

 《2》「株主リスト」が登記の添付書面となります

 法務省よりのアナウンスです。

 株式会社・投資法人・特定目的会社の登記の申請に当たっては、平成28年10月1日以降の登記より、添付書面として,「株主リスト」が必要となる場合があります。

 株主リストの添付は,次の2つの場合に必要となります。
┌────────────────────┐
│【1】登記すべき事項につき株主全員の同意│
│   (種類株主全員の同意)を要する場合│
│ │
│【2】登記すべき事項につき株主総会の決議│
│   (種類株主総会の決議)を要する場合│
└────────────────────┘
 なお、登記事項につき,株主総会決議を省略する場合(会社法319条1項)にも,株主リストの添付が必要です。

 ここで、【1】の場合には、次の4点を代表者が証明することになります。
┌──────────────────────────┐
│・株主の氏名又は名称 │
│・住所 │
│・株式数(種類株式発行会社は,種類株式の種類及び数)│
│・議決権数 │
└──────────────────────────┘
 また、【2】の場合には、次の5点を代表者が証明することになります。
┌──────────────────────────┐
│・株主の氏名又は名称 │
│・住所 │
│・株式数(種類株式発行会社は,種類株式の種類及び数)│
│・議決権数 │
│・議決権数割合 │
└──────────────────────────┘
 ただし、【1】と異なり、

 ○議決権数上位10名の株主
  あるいは
 ○議決権割合が2/3に達するまでの株主

 いずれか少ない方の株主が対象となります。

 なお、弊所では、希望される方についての登記は、司法書士の藤井裕子先生にお願いしております。

 ご自身で登記される場合、あるいは別の司法書士さんに依頼される場合、こちらの対応については、法務局あるいは懇意の司法書士さんと直接ご相談下さい。

 宜しくお願い申し上げます。

参考)
「株主リスト」が登記の添付書面となります(法務省)
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00095.html

 《3》チロリアンの千鳥屋総本家が倒産した理由(近代セールス)

 近代セールス2016年9月1日号より。

○[検証]なぜこの会社は倒産したのか!?
 第263回 千鳥屋総本家(株)
  田中祐実(帝国データバンク情報部)

 千鳥屋総本家を知らない私の母親でも。
 チロリアンは、流石に知ってました。

 で、5月に民事再生法申立していたのですね。
 食品関係は、浮き沈み激しいのが常ですが。

 この会社が倒産したのは、取引先が集中してしまったのが原因だと。
 東京ディズニーリゾートを経営するオリエンタルランドですね。

 売上の50%から60%を占めるようになっていたとは。
 もの凄い依存率ですが。

 で、オリエンタルからは、設備投資・徹底した品質管理要求。
 当然、採算性はよくないわけですが。

 そこに、オリエンタルは、他社との競合関係を持ち込んだと。
 ただでさえ大変なのに、そこに東日本大震災が来たと。

 苦しい中、ノンバンクに資金調達を求めたのですが。
 債権譲渡・動産譲渡の登記をされてしまった。

 オリエンタルは、納入業者としての財務状況の悪化を理由に。
 なんと、2014年12月に取引打ち切り。

 その後も再建策は功を奏さず、民事再生にと。
 うーん、オリエンタルへの恨み節が聞こえそうですが。

 主力取引先を薄めるアクションを怠った結果なのですよね。
 多くの中小企業には、非常に耳の痛い反面教師事例になりそうです。

 《4》為替デリバティブによる倒産事例(近代セールス)

 近代セールス2016年8月1日号より。

○[検証]なぜこの会社は倒産したのか!?
 第261回 昌立物産(株)
 為替デリバティブで大損失
 本業の余力を残したまま倒産へ
 綴木猛(帝国データバンク情報部)

 民事再生法申し立ての一番大きな原因は、デリバティブ損失だったと。
 大手金融機関に勧誘され、2005年10月頃から、契約を結んだ。

 ところが、円高ドル安の進行が進んでしまった。
 2008年頃には、既に事業収益でまかなえなくなっていたという。

 そのために、銀行借り入れが加速的に増加した。
 で、すごい表現があります。

「たとえるならば、『銀行からもらって飲んだ毒を緩和するために,銀行から薬を買う』という状況に置かれていた。」

 その後リスケ要請するもののダメ。
 協議会ダメ、ADRダメ、そこについにダメ押しです。

「同年6月には、税務署から税務調査を受け、2013年6月に損金計上している過年度修正損について欠損金の繰越控除が認められないとの判断が下った。これまで策定していた返済計画は、この繰越控除が受けられることが前提だったため、決定打となった。」

 デリバティブでの調査否認事例は、聞いていましたが。
 倒産の引き金になるケースでのものは、初めて知りました。

第2 研修会情報・執筆情報

 《1》関与先様向研修会

 8月1日月曜午後に償却資産税減免関係の強化法研修を行いました。ご参加ありがとうございました。

 関与先様には、ご希望されれば、当研修の音声データをCDでお渡しできます。担当者にお申し付け下さい。

 また、秋口に、例年通り、相続税・贈与税セミナーを開催します。

 《2》外部研修会情報

1)東北税理士会研修会(盛岡・仙台)

 東北税理士会の依頼で、10月20日・21日に盛岡・仙台で研修講師を務める予定となっております。このため、19日水曜夜から21日金曜一杯まで、各種のご連絡ができない場合があり得ます。申し訳ございませんが、どうかご容赦下さい。

 《3》執筆情報

 今月は特にありません。

第3 PC関係

 今月は特にありません。

第4 書籍紹介

 《1》「相続の6つの物語 資産を使って楽しく生きる「自遊自財」」本郷尚

 タクトコンサルティングの本郷先生の新刊が出ました。

「相続の6つの物語 資産を使って楽しく生きる「自遊自財」」本郷尚
日本経済新聞社 2016年8月4日1版1刷発行

 過去の子供世代目線での相続対策から、親目線での相続対策へ。
 その中では、アパート経営時代の終わりなどが、出口とともに語られる。

 で、一貫しているのは、夫の目線ではなく、妻の目線で、ということ。
 更に言えば、息子目線より娘目線のような気がする。

 男は合理性思考と言うけれど、実は局所的な見方になっていることが多い。
 女性と違い、思考の切り換え訓練が出来ていないせいかもしれない。

 もう1つ、ここで語られている話は、リストラクチャリングなのですね。
 リストラというと首切りですが、文字通り、再構築、組み替えという話。

 本郷先生は「再出発」と表現されていますが。

 時代に合った財産構成を意識していないと、いつのまにか取り残される。
 身動きとれなくなる前に、決断しなくては、手遅れになるということ。

 書いてあることは、すべて、ごくごく自然で納得です。
 超高齢化社会の到来は、「遺して終わり」を過去の遺物としましたから。

 この本で、一番なるほどと思ったのは。
「家は思想だ」(p40)です。

 住む側からすれば、「なんでこんな」が多々あっても。
 すべては、建てた人の思想故なのですね。

 言われれば当たり前のようですが、なんか納得でした。

 なお、出版記念セミナーが、9月20日日経ホールであるそうです。

「相続の6つの物語」出版記念セミナーのご案内
https://www.tactnet.com/seminar/tactseminar/201609.html

 《2》「プライベートバンカー カネ守りと新富裕層」清武英利

 あの、清武氏って、ノンフィクション作家に転身していたのですね。
 いや、読売新聞時代に、国税庁担当時代もあるので、本書はなるほどですが。

「プライベートバンカー カネ守りと新富裕層」清武英利
 講談社 2016年7月12日第1刷発行
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4062201992/

 元は、週刊現代の連載記事らしいですが、出版に際してかなり加筆された模様。
 丁度、パナマ文書が出たりしたので、それ今だって感じだったのでしょうか。

 舞台はシンガポールで、シンガポール銀行ことBOSのメンバーが主な登場人物。
 その中の何人かは、実名だという。

 で、しょっぱなから、5年の喪が明けるのを待っている富裕層が登場する。
 要は、相続税回避のための提案に従って、日本に帰らないで留まる人達。

 現地では、イグジット組と呼ばれるのだそうだ。
 「ゴールイン」あるいは「あがり」の意味だそうだが。

 要するに、佐藤税理士の本でいう「税金亡命」の脱出者ということですね。
 逃税者たちと言ったら、怒られるだろうか。

 しかし、これって皆さん幸せにになれないのだと(P136以下)。
 5年は長すぎるのだという。

 夫は我慢できても、妻や息子の嫁が日本に帰りたいと言い出す。
 で、言い争いの末に、夫や息子を残して、女達は帰国するのだと。

 シビアな現実ですなぁ。

 この本の中で出てくるショッキングな事件については、下記記事があります。
 日本にいると、ちょっと信じられないような事件ですが。

2016年08月06日(土) 週刊現代
「私は奴らに殺されかけた」ある日本人資産家の告白~『プライベートバンカー』その知られざる正体 文:ジャーナリスト 清武英利
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49354

 《3》「税金亡命」佐藤弘幸

「税金亡命」佐藤弘幸
ダイヤモンド社 2016年7月22日第1刷発行

 「国税局資料調査課」を出した佐藤税理士の第二弾。
 今度は、小説なのですね。

 香港を舞台にした国際租税回避事案ですが。
 提案側の税理士法人のメンバーが登場して、面白いです。

 まぁ、代表者は吉良上野介のような切られ役なのですが。
 脇役たち、特に元国税OB達の心理描写がなるほどなぁと。

 で、派手な国際租税回避スキームに目が行きがちですが。
 この本の最大の特色は、調査官の思考過程を描き出したこと。

 逆の立場になり、調査を回避するために繰り出すあの手この手。
 更に、国税側で、それをひっくり返そうとする攻防。

 いや、課税庁目線でも面白いだろうと思いますし。
 税理士目線で見ても、参考になることが多々あると思います。

 なお、徴収の問題が最後に登場するのが、リアルだと思いました。
 とれなきゃ課税してもしょうがないじゃん、という真実。

 なるほどでした。
 スケールが大きくなっても、そこは変わらないのだなと。

 ただ、納税者目線では、膨大な情報で、文字だけだと辛い面もあるかも。
 是非、ドラマ・映画にしちゃって下さいとエールをおくります。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
INET用

 《1》重要報道

1)脱税情報等

(1)村上世彰氏の関係会社15億円の申告漏れ指摘は過少資本税制の適用

 適用されればこうなると、知らなかったのか、知っていたのか。
 そこが知りたいですね。


村上世彰氏の関係会社、15億円の申告漏れ指摘
TBS系(JNN) 7月29日(金)13時30分配信

 (略)

 関係者によりますと、レノは村上元代表から100億円規模を借り入れ、利息としておよそ15億円を支払い、経費に計上していました。東京国税局は、「レノは村上元代表が実質的に支配する会社」と判断したうえで、海外にいる資金提供者などに利息を支払い、節税する行為を規制する「過少資本税制」を適用して、レノに対し2013年までの3年間におよそ15億円の申告漏れを指摘しました。

 (略)

最終更新:7月29日(金)19時34分
TBS News i
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20160729-00000035-jnn-soci


村上世彰氏の関係会社、15億円申告漏れ 国税が指摘
朝日新聞デジタル 7月29日(金)12時22分配信

 (略)

 関係者によると、同社はシンガポールに在住する村上氏から多額の資金を借り入れて投資に充て、村上氏に利子を支払っていた。利子は経費として計上していたという。税務上、出資に対して配当を支払った場合は経費にならないが、借入金に対する利子は経費となる。

 これに対して国税局は「過少資本税制」を適用。同制度は、海外にいる資金提供者や親会社から、出資ではなく借入金を多く受け入れて節税する行為を規制するもの。レノが村上氏の支配下にあるかが適用条件の一つになるが、国税局は「村上氏が実質的に支配していた」と判断し、利子の一部を経費として認めなかった模様だ。

朝日新聞社
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160729-00000050-asahi-soci


参考)
過少資本税制の仕組み(図解)(財務省)
http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/international/180.htm

(2)名古屋の興正寺、6億円申告漏れ 前住職の申告不備

 いや、面白すぎますね。
 もっとやってという感じです。


名古屋の興正寺、6億円申告漏れ 前住職の申告不備
2016.7.30 16:44

 (略)

 国税局は、寺が経営コンサルタント業者に支払った再開発に関する業務委託料について収益事業の経費と認めなかった。梅村氏への人件費なども収益事業の経費ではなく宗教活動での支出だと指摘したもようだ。

http://www.sankei.com/west/news/160730/wst1607300054-n1.html


 税務的にポイントの1つは、ここですね。

 収益事業の経費と認めなかったというところ。
 公益法人等の税務調査で、最近指摘が増えつつある論点です。


興正寺、6.6億円申告漏れ 前住職の告訴検討 名古屋
2016年7月30日05時04分

 (略)

 関係者によると、興正寺は東京のコンサルタント会社に業務委託費を支払った。しかし、業務内容が不明瞭で、収益事業の経費に認められなかった。また、前住職が設立した英国の会社への貸付金に対する利息を非課税扱いの非収益事業としたが、収益事業に計上すべきだと指摘されるなどしたという。

 前住職は12年、寺有地約6万6千平方メートルを中京大学(名古屋市昭和区)に売却。得た代金約138億円の使途などについて国税局が今年1月から税務調査を進めていた。大半は、さまざまな業務委託費として使われたとみている模様だ。

(略)

http://www.asahi.com/articles/ASJ7X6395J7XOLZU002.html


 逆に、別法人に対する貸付金利息が、収益事業と言われたのは当然ですね。
 なんかボロボロ出てきているのですね。

 で、更に、差押えまで。


興正寺、14億円差し押さえ コンサル社業務委託費未納
2016年7月31日05時04分

 (略)

 興正寺を巡っては、寺有地の売却で得た金の使途などに絡み、名古屋国税局から約6億6千万円の申告漏れを指摘されている。調査の過程で、寺とコンサル会社との取引関係が明らかになったという。

 関係者によると、寺は前住職時代の2013年8月、コンサル会社と融資に関する業務委託の契約を約17億円で締結。14年4月には、委託費の支払いが滞れば寺の資産を差し押さえできる内容の公正証書を作成していた。

 寺は約1億5千万円を支払ったが、その後は未納に。コンサル会社が名古屋地裁に申し立て、今年5月に寺の三つの銀行口座の預金など計14億円が差し押えられたという。

 一方、高野山真言宗の総本山金剛峯寺(和歌山県高野町)は14年1月に前住職を罷免しており、興正寺は「前住職名の公正証書は無効」などと主張。今年6月に名古屋地裁に提訴し、コンサル会社と争っている。

 前住職は罷免後も、寺の運営を実質的に取り仕切っている。国税局の調査で、寺が15年3月期の法人所得の申告をせず、名古屋国税局から無申告加算税約900万円を課されたことがわかった。国税局は「前住職が申告を怠った」とみている模様だ。

 (略)

http://www.asahi.com/articles/ASJ7X64L5J7XOLZU004.html


 いや、俗僧達は、空海様の三鈷で刺されておしまいなさい、って感じですね。

(3)三田の社会福祉法人が国税不服審に審査請求 源泉徴収漏れ指摘で 追徴額は重加含め2500万円

 あの問題になった社会福祉法人が、不服審判所に審査請求したそうです。

「これに対し法人は、第三者委員会の調査報告書は元常務理事が法人の口座から約5300万円を引き出したのは21年6月~22年3月と結論づけており、税務調査がさかのぼれる5年の時効が経過していると主張。国税局が指摘した24年3月の引き出しは、元常務理事が21年6月~22年3月の横領分を穴埋めするため、定期預金から普通預金へ同額を移し替えただけだと反論している。」

 うーん、斬新な争い方ですね。
 苦しいとしか思えませんが。

 しかし、

「法人は資金繰りの逼迫(ひっぱく)で納税できないため、徴収猶予も同時に申し立てた。」

というのですから、決着する前に破綻するかもしれません。


三田の社会福祉法人が国税不服審に審査請求 源泉徴収漏れ指摘で 追徴額は重加含め2500万円
2016.7.27 19:14更新

 兵庫県三田市の社会福祉法人「三翠(さんすい)会」の前理事長の夫である元常務理事らが法人から横領した資金をめぐり、大阪国税局が所得税の源泉徴収漏れを法人に指摘した問題で、三翠会は27日、追徴課税を不服として大阪国税不服審判所に直接審査請求をしたと明らかにした。請求は20日付。

 国税局は高齢者住宅の建設工事をめぐって不正流用された2億円超の資金のうち、平成24年3月に法人の口座から無断で引き出された約5300万円については元常務理事への賞与にあたると認定。法人に対し重加算税などを含め2500万円の源泉所得税を追徴課税した。

 (略)

http://www.sankei.com/west/news/160727/wst1607270072-n1.html


(4)元「NHK英会話講座」講師が“脱税”

 著作権使用料を米国口座に振り込ませていたと。
 在宅起訴されたってことは、悪質だと判断されたのでしょうか。


元「NHK英会話講座」講師が“脱税”
日本テレビ系(NNN) 8月4日(木)20時5分配信

 (略)

 特捜部によると、巽被告は著作権料をアメリカの銀行口座に入金させるなどの手口で、2013年までの3年間で所得税約2600万円を脱税した罪に問われている。

 関係者によると、巽被告はこれまでの調べに対し「アメリカで納税していた」「源泉徴収されていると思っていた」などと供述していたという。巽被告は日本テレビの取材に応じていない。

http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20160804-00000088-nnn-soci


(5)違法な民泊運営者の情報を税務署へ提供開始

 最近流行の民泊ですが、いろいろ問題が生じているのだと。
 そのうちの1つが確定申告してないんじゃないの、という話ですね。

 で、京都市では、税務署に情報提供を開始したよと。
 この動き、全国に広がるのかどうか、注視したいところ。


「民泊」で苦情や相談、7月に260件…京都市
2016年08月06日 18時28分

 (略)

 一方、民泊への関心が高まったことで、民泊運営に必要な旅館業法の許可申請も急増。7月だけで73件と、2014年度の年間件数(79件)に迫る数に上った。

 ただ、市の指導に応じない運営者も多く、市は違法な民泊の運営者が確定申告をしていない疑いがあるとみて、税務署への情報提供を始めた。市観光MICE推進室は「周辺住民の不安解消や、適法な運営者との公平性確保のため、違法民泊にはあらゆる手段で対応していく」としている。

http://www.yomiuri.co.jp/national/20160806-OYT1T50037.html


(6)都心一等地に「ビル型納骨堂」続々 東京都が課税し波紋

 徐々に増えているようですので、今後トラブルが増えそうです。


都心一等地に「ビル型納骨堂」続々 東京都が課税し波紋
佐藤秀男 朝日新聞デジタル 2016年8月13日04時00分

 (略)

 限られた敷地に多くの遺骨の安置を可能にさせるのが、立体駐車場や倉庫で使われる「自動搬送式」というシステムだ。利用者が参拝所で個人情報入りのカードをかざすと、ベルトコンベヤーで遺骨が運ばれてくる。人口集中と墓地不足を背景に、都市部に「新しいお寺」の建設が相次ぐ。だが思わぬ落とし穴があった。税金だ。

 伝燈院が、東京都による納骨堂への固定資産税の課税は違法だとして、課税取り消しを求める訴えを東京地裁に起こした。新たな納骨堂の建設を始めた住職がそれを知ったのは今から約1年前。「どの寺も墓地と同じで当然、非課税と思って納骨堂を建てている。課税されるかもしれないなんて、考えもしなかった」

 遺骨を納める点で、納骨堂は墓地と一緒だ。だが地方税法は、墓地について固定資産税を非課税と定める一方、納骨堂に非課税の定めはない。そこに課税の余地があると都は踏んだ。やはり地方税法に、宗教法人がもっぱら本来の目的に使う境内地や建物は非課税とする決まりがある。

 都は、伝燈院が宗旨・宗派を問わず受け入れ、仏壇・仏具の「はせがわ」に5割の手数料を払って販売を委託する契約を結んでいた点を指摘。納骨堂が宗派の教義を広める本来の目的に使われているとは言えない、と課税に踏み切った。

 今年5月の東京地裁判決も都の主張を支持。伝燈院が控訴しなかったため判決が確定した。都は「課税するかどうかは実態に応じて判断する」(固定資産税課)と、今後も同様の課税があるとにおわせる。

 仏教界には懸念と反発が広がる。住職向け専門誌「月刊住職」は「宗旨不問で業者と組んだがために当局の勝訴」(今年7月号)「納骨堂課税は行政の宗教弾圧だ」(同8月号)と、この問題に関する記事を相次ぎ掲載。判決を契機に、納骨堂を非課税にしてきた全国の自治体に課税が波及する可能性を伝えた。

 (略)

http://www.asahi.com/articles/ASJ8B5S3KJ8BULFA01Y.html


・地方税法第348条(固定資産税の非課税の範囲)

2  固定資産税は、次に掲げる固定資産に対しては課することができない。ただし、固定資産を有料で借り受けた者がこれを次に掲げる固定資産として使用する場合においては、当該固定資産の所有者に課することができる。

三  宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法第三条 に規定する境内建物及び境内地(旧宗教法人令の規定による宗教法人のこれに相当する建物、工作物及び土地を含む。)

四  墓地

(7)<英国>税逃れ指南に罰金 銀行・会計士ら対象

 日本は昨年税制改正で、スキーム開示が検討されたものの見送り。
 今年は、パナマ文書という爆弾が炸裂しているので、どうか。

 英国並みに、罰金まで踏み込むのでしょうか。
 会計事務所だけなく、金融機関も名指しされていますね。

<英国>税逃れ指南に罰金 銀行・会計士ら対象
毎日新聞 8月22日(月)7時30分配信

 【ロンドン坂井隆之】英政府は、課税逃れの手法を企業や富裕層に助言した銀行や会計士、弁護士らに罰則を科す方針を明らかにした。最大で、顧客が不当に免れた税額と同じ額の罰金を科す。税制の抜け穴に巧妙につけ込んだ税逃れが後を絶たないことから、「指南役」への締め付けを強める。

 (略)

 ジェーン・エリソン金融担当閣外相は「厳格な罰則によって、税逃れの多くの手法は機能しなくなる」と強調。課税逃れを追及するNGO「タックス・ジャスティス・ネットワーク」は声明で「課税逃れの背後には、ノウハウを企業に売って利益を得る銀行や会計事務所の存在があり、彼らに焦点を当てた今回の案は大きな前進だ。どこまで徹底されるかが今後のカギになる」と評価した。

 新規制案は今後の審議を経て法制化される。会計士や税理士の団体は「納税者が、法に基づいた誠実な助言まで受けられなくなる恐れがある」として反発しており、実施までには曲折もありそうだ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160822-00000012-mai-bus_all


 日本も、そろそろ税制改正の議論が本格化する時期ですね。
 さて、どうなりますか。

(8)自社株の相続めぐり銀行が中小企業経営者へ提案の節税策、国税がNO!(産経新聞)

 産経新聞は観測気球なので、課税庁が本件注目しているのは間違いないかと。


自社株の相続めぐり銀行が中小企業経営者へ提案の節税策、国税がNO! 追徴課税などを受け国提訴が相次ぐ…
2016.8.29 06:00

 自社株の相続対策に悩む中小企業の経営者が、取引銀行から提案された別会社へ株を売却するなどの「節税策」を実行したところ、税務署に認められずに課税され、国を相手取った訴訟に発展するケースが増えている。国税当局が租税回避行為とみなして厳格に臨んでいるためだ。専門家は、こうした国の判断を認める判例が出てくれば、節税策を提案する銀行や税理士の責任も問われると指摘する。

 (略)

 ところが税務訴訟を多く手がける都内の弁護士によると、こうして下落させた株価を国税当局が認めず更正処分(追徴課税)を行うケースが昨年ごろから徐々に増えているという。東京国税不服審判所に審査請求したものの認められず、課税取り消しを求めて国を提訴する事例も出始め、今後の司法の判断が注目される。同弁護士は「富裕層への課税強化の流れから、調査の現場が積極的に執行する方向にかじを切った印象だ」と指摘する。

 国税庁通達どおりとはいえ、このような株の評価減は相続税を減らす以外に目的がない。このため、「これらのケースでは国税当局が租税回避行為と認定した可能性がある」(資産課税に詳しい税理士)という。

 (略)

http://www.sankei.com/west/news/160829/wst1608290009-n4.html


 よく、都市銀行が勧めている持株会社化スキームですね。
 早期に自社株による事業承継ができるので、意味ある手法ではありますが。

 このあたり、粗い手続きで、調査で問題になる事例もあり。
 この辺、金井義家先生の税務弘報2016年7月号記事でも扱っていました。

銀行提案の自社株対策の落とし穴(税務弘報)
http://taxmlcheck.jugem.jp/?eid=2202

 ただ、この記事で念頭にあるのは、恐らくトステム事案ですね。
 以前、ブログで、白井先生が扱っています。

トステム創業者遺産で申告漏れ(3)白井一馬
http://taxmlcheck.jugem.jp/?eid=1047

 トステム事案は、総則第6項の問題でした。
 簡単に言えば、あざとすぎると言われてしまったわけですが。

 スキームを大雑把にしか知らない人達には。
 きめ細かな手続きなど求むべくもなく、粗すぎる手続きが調査で問題になる。

 ということだと想像しています。

 問題は、このままだと、丁寧な提案も、雑な提案も糞味噌になること。
 税理士が提案に関わる際には、要注意ですが、さて。

2)法律関係

(1)海外を利用した相続対策は本当はリスクだらけ

 金井義家先生がコメントしています。

「実はリスクだらけ」富裕層のタックスヘイブン〝脱法〟課税逃れ 国税当局の「網」は甘くない【関西の議論】
2016.8.10 15:00更新

 (略)

 ひるがえって日本国内の富裕層はどうなっているのか。金井氏は「相続対策を失敗するケースが少なくない。海外を利用した相続対策は本当はリスクだらけ」と指摘する。

 海外の金融機関は、日本には存在しない魅力的な保険商品や信託を用意している一方で、自己責任の原則と語学の問題が立ちはだかる。不動産投資も高い利回りが期待できる半面、信頼できる仲介者が極めて限られていたり、情報、土地勘が不足していたりするデメリットは無視できないという。

 海外に預けた金融資産や不動産が生み出す利子・配当や地代家賃は、日本で所得税と住民税が課税される。国内の金融機関で得た利子・配当には分離課税(他の所得と合算せずに課税)で税率20%であるのに対し、海外から得た利子・配当や地代家賃には総合課税で10~55%の累進税率が適用される。

 (略)

http://www.sankei.com/west/news/160810/wst1608100005-n1.html


 このあたりは、「海外相続を取り巻く環境」(KINZAIファイナンシャル・プラン2015年10月号記事)あたりも参考になるでしょうね。

 戸籍のある日本と、プロベート前提の英米法の国々では、相続法制は全く違う。
 そこを知らずに、海外に行くとえらいこっちゃ。

 税制と法制のダブルパンチを喰らいかねない。
 更に、家族関係悪化した日にゃ、泣くに泣けませんね。

(2)「30年一括借り上げ」商法は終わるか

 不動産賃貸住宅経営のお客様は、税理士にはよくありますので。
 人によっては、結構激震かもしれません。

 で、国交省が、制度改正を行うわけですが。
 対象は、これまでもよくあった、一括借上げ賃料保証トラブル。

 要は、空室増えると見直し条項がちゃんとついているのですが。
 説明をほとんどしていないので、後でトラブルが起きる。

 そこで、説明義務を業者に課して、逃げられなくするのですね。
 実務経験者に説明させ、記名押印も必要。

 で、肝は賃貸住宅管理業務処理準則8条四号でしょうか。

「四 借賃(空室時に異なる借賃とする場合は、その内容を含む。)及び将来の借賃の変動に係る条件に関する事項」

 改正賃貸住宅管理業務処理準則は、9月1日施行。
 ただし、一部規定は平成30年6月30日まで経過措置あり。

「賃貸住宅管理業者登録規程」及び「賃貸住宅管理業務処理準則」の改正
http://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo16_hh_000136.html

「家賃保証」アパート経営、減額リスクの説明義務化
朝日新聞デジタル 8月11日(木)4時2分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160811-00000007-asahi-soci

3)医療・介護関係

 今月はありません。

4)金融関係

(1)住宅ローン金利、5カ月ぶり引き上げへ 当初10年固定

 あれ、上がるんだ。
 なんか、騙されているみたい。


住宅ローン金利、5カ月ぶり引き上げへ 当初10年固定
朝日新聞デジタル 8月29日(月)21時45分配信

 三菱東京UFJ銀行とみずほ銀行、三井住友信託銀行は、9月契約分の住宅ローン金利について、当初10年固定の最優遇金利を5カ月ぶりに引き上げる。このところの長期金利上昇を受けた動きだ。

 10年固定の最優遇金利は、三菱東京UFJ銀は0・10%幅上げて年0・60%、みずほ銀は0・05%幅上げて年0・70%、三井住友信託銀は0・10%幅上げて年0・45%にする。各行は15年以上の固定金利も、10年固定と同程度引き上げる。

 住宅ローンの固定金利は長期金利をもとに決まる。長期金利の指標となる満期10年の新発国債の流通利回りは、7月に一時、マイナス0・300%と過去最低をつけたが、その後マイナス幅が縮み、8月29日には一時マイナス0・055%になった。

 (略)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160829-00000063-asahi-bus_all


 んー、動きが急ですね。
 住宅ローン考えている人は、え、話が違うなんて言わないのだろうか。

5)パソコン関係

 今月はありません。