●2012年12月28日用事務所だより案
第1 税務・会計・法務情報
《1》平成25年度税制改正の行方
皆さんご存じのように、民主党政権が崩壊しました。
現在、自民党安倍総裁が組閣人事の真っ只中のようです(平成24年12月24日現在)。
では、税制改正はどうなるのか。
今聞こえてきている情報によれば、党主導の税調に戻り、議論が開始されたと。
┌─────────────────┐
│早ければ、平成25年1月半ばには、│
│大綱が出されるのではないかと。 │
└─────────────────┘
このように聞いております。
ただ、どうなるかは全く未定です。
また状況が分かり次第、関与先の皆様にアナウンスさせて頂く予定です。
このため、近年、毎年恒例としていた1月の改正税法速報会の代わりに、決算書の読み方セミナーを開催することとしております。どうかご容赦下さい。
《2》税務調査手続が変わりつつあります
昨年平成23年12月に、国税通則法の改正が行われました。改正内容が、正式に施行するのは、平成25年1月からですが、課税庁では、この10月からプレ施行手続への移行を行っています。
たとえば、税務調査の連絡についても、従来よりも手続的にかなり細かくなりました。 ただ、ここで覚えておいて欲しいのは、
┌──────────────────────────┐
│「日程は顧問税理士と相談して決めるから」の一言です。│
└──────────────────────────┘
これ以外で、既に経験した調査で、大きく変わったなと感じたのは、書類の預りについてです。従来から、書類の預り実務自体はあり、その都度預り証を発行していたのですが、
┌─────────────────────┐
│この書類の預り手続が法定されたことに伴い、│
│手続が細かくなりました。 │
└─────────────────────┘
書類1綴ごとに内容を明記していき、預りの際に納税者の確認をとり、最終的には押印を求められます。書類の数があると、これだけで1時間近く掛かってしまいます。
また、返却時にはこの預り証を示して、返却を受けることになります。
注目しておいて欲しいのは、
┌─────────────────────┐
│文書に対する注目度・重視度が、今までよりも│
│より高くなっている │
└─────────────────────┘
ということです。
調査前の打ち合わせでは、よく申し上げるのですが、
┌─────────────────────┐
│必要な書類が揃っているかはもちろんですが、│
│余計な書類がファイルされていないか、 │
└─────────────────────┘
ということにも、注意をしておいて下さい。
《3》国民年金保険料の後納制度が拡大されています(期間限定)
法律の改正により、国民年金保険料の後納可能期間が、過去2年から過去10年に延長されています。ただし、平成24年10月から平成27年9月30日までの3年間に限ります。
過去10年間に納め忘れた国民年金保険料を納めることで、将来の年金額を増やしたり、年金受給権を新たに取得したりできる場合があります。
詳細は、国民年金保険料専用ダイヤル(0570-011-050)へお問い合わせ下さい。
なお、当然ですが、
┌───────────────────────────┐
│これに基づいて平成24年中に支払った国民年金保険料は、│
│平成24年分の確定申告で所得から控除できます。 │
└───────────────────────────┘
第2 研修会情報
1)平成25年1月15日火曜にTKC福山SCGセンターにて「決算書の読み方」を開催します。関与先様向けですが、関与先様以外でも参加可能です(有料)。詳しくはお問い合わせ下さい。
第3 その他
1)法律相談等
無料の法律相談サービスをご紹介します。
(1)日本弁護士連合会による法律無料相談
日弁連が、現在全国の中小企業経営者の相談について、初回の最初30分に限り無料で相談を受けてくれるそうです(広島県は平成25年3月末まで)。面談予約には、ひまわりほっとダイヤル(0570-001-240)まで連絡とのことです。詳細は下記URLまで。
http://www.nichibenren.or.jp/ja/sme/index.html
(2)日弁連交通事故相談センター
無料面談30分、無料電話相談10分程度の相談を行ってくれるそうです。
電話は、0570-078325
(3)法テラス
収入が一定以下であるなど経済的余裕がない人向けの無料法律相談を含むサポート組織です。電話は、0570-078374。
(4)境界問題相談センターひろしま
土地の境界トラブルに広島県土地家屋調査士会が対応してくれるものです。隔週水曜日で無料面談があり、事前予約が必要だそうです。電話は、082-506-1171。
以上
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INET用
《1》重要報道
1)脱税報道等
(1)アリコへの課税取り消し 外貨建て資産で97億円
2012.12.8 00:28
米生命保険大手アリコ(アメリカン・ライフ・インシュアランス・カンパニー)が外貨建て資産の評価方法が不当だとして、法人税の課税取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁の定塚誠裁判長は7日、ほぼ請求通り約97億円の課税処分を取り消した。
判決によると、同社は日本に支店があった2007年度、保有する外貨建て有価証券について、円高で価値が下がったとして約320億円を損失計上して申告した。
これに対し、国税当局は「為替変動のリスクを回避するデリバティブ(金融派生商品)取引が行われており、損失に算入されない」として、法人税計約141億円を課税した。
しかし、定塚裁判長は「正しく判定すれば、リスクは回避できておらず、損失として計上できる」と判断した。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/121208/trl12120800300000-n1.htm
◆デリバティブ関係の訴訟で、関係各所には、大きな影響があるのではないかと言われています。
2)東京医科大茨城医療センター:保険医療機関の指定取り消し /茨城
2012年12月02日
本来認められない診療報酬を故意に請求し、健康保険分だけで約8300万円を不正に受け取っていた東京医科大茨城医療センター(阿見町中央3)が1日、保険医療機関としての指定を取り消された。同病院は1階外来ホールに特設窓口を設け、原則として受診者が従来通り診療費の3割を負担し、7割は健康保険組合など(保険者)に病院が請求する「療養費払い」制度などについて来院者に説明した。同病院は「来院者は療養費払いの手続きが必要なので保険証と印鑑(スタンプ型印鑑は不可)、紹介状のある人は紹介状を持参してほしい」と呼び掛けている。
同病院は11月、保険医療機関の指定取り消し後の診療対象の基準を策定。原則として外来、入院とも救急の受け入れ、がん、肝疾患や特定疾患、他の医療機関からの紹介の患者に限られる。国民健康保険(国保)は県内の全市町村が療養費払い適用を了承し、国保の患者はこれまで通りの負担割合で診療が受けられる。サラリーマンなど勤務先で加入する社会保険の加入者については、同病院の受診患者が多い企業などに適用の要望を進めている。【福沢光一】
http://mainichi.jp/select/news/20121202mog00m040010000c.html
◆この療養費払いになれば、完全に今までのままかというと、恐らくそのようなことはないのだろうと思われます。行政としては、最大限の配慮をしているというだけで、事務負担や病院のコストの問題など、いろんな問題が生じるようです。
3)滋賀県立大900万円源泉徴収漏れ 入試謝金は「給与」
京都新聞 12月20日(木)10時39分配信
滋賀県立大(彦根市)が彦根税務署の税務調査で、入学試験の問題作成や採点、監督などをした教員に支払った謝金を給与所得と認定され、5年間で計約900万円の所得税源泉徴収漏れを指摘されていたことが、19日までに分かった。
関係者によると、指摘の対象となったのは、時効分を除く2008~12年の入試業務で教員約260人に支払った計約5500万円。
大学側は、入試の問題作成や監督などは教員の通常業務でなく、謝金を源泉徴収対象の給与ではない「報酬」として全額支給してきたが、税務署は入試を教員の本来業務と見なし、給与所得と判断したもようだ。
取材に対し、同大学の川口逸司副理事長兼事務局長は「指摘を受けたのは事実で、結果として認識が甘かった」としており、追徴税額の確定を受けて全額納付する方針。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121220-00000005-kyt-l25
◆謝金について、給与から外したいというもらう側のニーズに応える場合のリスクと理解すべきなのでしょう。
4)消費税を脱税 カラオケ店経営者ら起訴、東京地検特捜部
産経新聞 12月19日(水)20時0分配信
架空の経費を計上して消費税を脱税したなどとして、東京地検特捜部は19日、消費税法違反などの罪で、カラオケ店運営会社「イー・ワークス」実質経営、青山一也(48)=東京都港区▽IT関連会社「ハイテックシステム」社長、浜田幸次(59)=横浜市▽経営コンサルタント、大家一光(64)=港区-の3人と、法人としての両社を起訴した。
大家被告は両社の経営について助言をしており、脱税の方法も指南していたとみられる。
起訴状によると、青山被告と大家被告は共謀し、イー社従業員の給与を外部委託費などに偽装して架空経費を計上。平成22年4月までの2年間で、イー社の消費税と地方消費税計約2720万円を脱税したとされる。
浜田被告も大家被告と共謀し、同様の手口で23年9月までの3年間に、ハイ社の消費税と地方消費税計約1710万円を脱税し、約370万円の還付を不正に受けたとされる。
また、特捜部は同日、浜田・大家両被告が共謀し、ハイ社の従業員が休業したように偽装し、21年10月から23年1月にかけ、中小企業緊急雇用安定助成金約4960万円を国からだまし取ったとして、2人を詐欺罪でも起訴した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121219-00000585-san-soci
◆消費税の不正還付は、逮捕されるリスクがあるという事例がまた1つ増えました。
5)ダミー会社介して転売、中古重機販売で所得隠し
読売新聞 12月23日(日)12時46分配信
大型クレーンなどの中古重機を売却する際、ダミー会社を介在させる手口で売り上げの一部を隠したとして、重機リース会社「佐竹重機」(茨城県鹿嶋市)が、関東信越国税局から2011年8月期までの7年間に約2億5000万円の所得隠しを指摘されていたことが分かった。
ほかの経理処理を含めた申告漏れ総額は約4億円。重加算税などを含む追徴税額は約1億5000万円とみられる。
関係者によると、クレーンのリースなどを手がける佐竹重機は、古くなった重機を年5台程度、東京都港区の買い取り業者に売却していたが、その際、知人が作ったダミー会社に、通常の価格より大幅に安い値段でいったん売り、その後、通常の価格で買い取り業者に転売させていた。差額分は、知人からキックバックを受けていた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121223-00000379-yom-soci
◆重加算税の典型例です。当然、関連した登場人物も、痛い目にあっていることでしょう。
6)出会い系サイト運営、8千万円脱税…国税が告発
読売新聞 12月21日(金)16時3分配信
出会い系サイトの運営で得た所得を隠し、法人税計約8000万円を脱税したとして、「メディアスタイル」(横浜市旭区、解散)など3社と、メディア社の佐藤修一元社長(35)が東京国税局から東京地検に法人税法違反容疑で告発されていたことがわかった。
3社は修正申告に応じ、納付を済ませたという。
ほかに告発されたのは、「ランピース」(東京都渋谷区)と「クリエイション」(横浜市西区、解散)。関係者によると、いずれも佐藤元社長が実質的に経営し、「モバステ」や「ラブステ」など複数の出会い系サイトを運営。元社長の知人の会社に請求書を作らせ、架空の外注費を計上する手口で、2011年までの3年間に計約2億9000万円の法人所得を隠した疑いが持たれている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121221-00000828-yom-soci
◆ネット関係は不正が起きやすいだけに、重点的に確認されつつあります。